米国のドナルド・トランプ前大統領が中国の習近平国家主席との電話会談で台湾問題について中国側の立場に「理解を示す」趣旨の発言をしたとされる報道が、日本の安全保障関係者の間で大きな波紋を広げている。これは、ウクライナ侵攻時に米国が当初は支援を表明しながら、政権の方針転換によって支援が一貫性を欠く可能性を露呈した構図に重なるとして、「米国は強い悪に寄り添い、仲間を切り捨てるのではないか」という根強い懸念が浮上している。
ロシアによるウクライナ侵攻当初、米国を中心とする西側諸国は強力な支援を表明し、ウクライナはこれに後押しされる形で戦闘を継続した。しかし、トランプ氏をはじめとする一部の米国内勢力からは、支援の継続に対する懐疑的な声が上がっており、支援の停止や大幅な縮小が現実味を帯びている。
この経緯は、「大国の気まぐれな同盟関係」という国際政治の厳しさを浮き彫りにした。ある外交筋は「ウクライナが米国の支援を絶対視して突き進んだ結果、最終的に『梯子を外される』という危機に直面している」と指摘する。
今回、トランプ氏が台湾を巡るデリケートな問題で中国に融和的な姿勢を見せたことは、日本にとって看過できない教訓となる。
日本はこれまで、「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定に不可欠」との立場を明確にし、米国と緊密に連携して中国の軍事的威圧に対する抑止力を高めてきた。もし米国が今後、「米国第一」の名の下に中国との関係改善を最優先し、台湾に対する関与を弱めれば、米国とともに強硬な姿勢をとってきた日本だけが中国から「悪者」として孤立し、圧力を受ける立場になりかねない。
この懸念は、日米同盟の重要性を否定するものではないが、「同盟の不確実性」を前提とした戦略が不可欠であることを示唆している。
政府関係者や専門家からは、「アメリカ追従」の危険性を指摘し、今こそ「日本独自の進むべき道を熟慮すべき」との声が強まっている。具体的には、米国の政権交代に左右されない自主的な防衛力強化の加速、オーストラリアやインドといった多国間連携の深化、そして中国との危機管理対話ルートの確立が喫緊の課題として挙げられる。
トランプ氏の外交姿勢は、日本に対し、「米国一辺倒」の安全保障体制からの脱却と、国益に基づいた柔軟で多角的な外交戦略を強く要求している。