もう一つの視点

真理は少数から始まる

大試合での大谷選手は諸刃の剣

 2025年ワールドシリーズにおけるドジャースの連覇は、劇的な結末を迎えた。しかし、この勝利が本当に実力で勝ち取られたものかという疑問は根強く残る。この優勝は、地力で勝っていたブルージェイズに対し、山本由伸投手という新たなエースの献身と、極めて幸運な打球の結果が、辛うじて勝利を引き寄せた、「運命的な綱渡りの成功」であったと言えるのではないだろうか。

 今回のワールドシリーズにおける大谷翔平選手の貢献は、単なる打撃成績や防御率の数値を超え、チーム全体に「光と影」という極端な二面性をもたらした。彼の才能は「諸刃の剣」のように、チームの命運を分けたのである。光としての側面、すなわちレギュラーシーズンや何でもない試合では本塁打を量産する圧倒的な破壊力はあるが、影としての側面、すなわち大きな試合では途端にノーヒットの山を築き、勝利への貢献度が著しく低下する。運命の第7戦での早期降板は、リリーフ陣に致命的な負担を強いた。さらに打者として不振に陥る中、DH枠を固定したことは、好調な他の控え野手の起用機会を奪い、打線の柔軟性を著しく低下させた。結果として、彼の存在は、勝利への起爆剤であると同時に、敗戦への最大の要因にもなり得る、極めて危険な賭けだった。

 対戦相手のブルージェイズは、リーグトップのチーム打率が示す通り、連打で着実に得点を重ねる「組織的な野球」でドジャースを圧倒した。多くのファンが指摘するように、試合の流れや内容から見れば、ドジャースは「このままでは負けるはずだった」というのが現実であり、ブルージェイズが戦力的に優位に立っていた。

 ドジャースの地獄からの生還を可能にしたのは、「普段活躍しなかった選手」の奇跡的な一打と、山本由伸投手の献身である。敗戦濃厚の状況でロハス選手やスミス選手が放った土壇場の一発、そして第6戦の勝利投手でありながら第7戦で連投し、サヨナラ負けの究極の危機を招いた山本の執念。そして、最後のダブルプレーは、まさに運だけである。バットが折れたが、あと数センチ打球の位置がずれていれば立場は逆転し、ドジャースの敗北であった。極限の状況での彼の投球は実力であったが、最終的な結果は、「運」が最後の最後にドジャースを選んだと言える。

 この優勝は「最高の結果」であるが、「まぐれ」であったことを認め、反省すべきところは反省し、次に生かしたほうがよいだろう。相手に打たせず、自分たちはヒットを打つブルージェイズと再びワールドシリーズを行ったとしたら、ドジャースは負ける。来シーズン、再び世界の頂点に立つためには、ドジャースは、今回の「奇跡的な勝利」を教訓とし、大舞台における大谷翔平選手という稀代の才能の起用法について、抜本的な戦略転換を図る必要がある。運に頼るのではなく、彼の「影」を最小化し、「光」の破壊力だけを引き出す、合理的で柔軟な起用法の確立こそが、ドジャースが「常勝」にふさわしいチームとなるための最大の課題である。