もう一つの視点

真理は少数から始まる

正義が勝てない世界で、信頼と責任による秩序を-G10 Compact

 世界は今、正義が勝てない構造に直面している。ロシアは武力で、アメリカは制度内から、そして中国は経済圧力で、国際秩序を自国の都合でねじ曲げようとしている。これら三大国に共通するのは、他国を犠牲にしてでも自国の利益を最優先するという姿勢であり、制度や倫理を軽視する行動である。

 このような世界で、制度と倫理を守ろうとする国々が孤立し、侵略や裏切りに晒される構造が固定化されつつある。ウクライナが長距離攻撃能力を持たないままロシアと対峙し続ければ、いずれ消耗し、敗北する。日本もまた、制度と倫理を守るがゆえに、いずれ「適当な理由」で攻められるリスクを抱えている。しかもそのとき、アメリカが本当に助けてくれる保証はない。

 このような状況において、信頼できる国々だけで新たな秩序を築くことが必要である。私たちは、日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、カナダ、スウェーデンフィンランド、オランダの十カ国による「G10 Compact」という枠組みを提案する。

 これらの国々は、法の支配、民主主義、報道の自由、倫理的外交、そして高い経済・技術・教育水準を備えている。裏切らず、他国を貶めず、制度と責任を共有できる国々である。この十カ国だけで、家族のような関係を築き、制度的に支え合い、助け合う体制を構築する。拡大も縮小もせず、他国を加盟させることはない。困っている国があれば支援はするが、枠組みの中には入れない。この十カ国だけで完結することが、信頼の構造を守るために不可欠である。

 G10 Compactは、経済、技術、防衛、社会保障のすべてにおいて、自律的に運営できる制度的連携体制を目指す。経済面では、戦略物資の共同備蓄、通貨安定協定、経済危機対応基金を整備する。技術面では、知的財産権を尊重し、技術の起源と貢献を記録・保護する制度を共有し、盗まれず、囲い込まれず、皆で利益を得る構造を築く。防衛面では、いずれかの加盟国が侵略された場合、他国が軍事的に支援する制度を明文化し、事前に貢献内容を登録することで、曖昧さを排除する。社会保障面では、制度の成熟度が高い国から学び合い、制度設計を支援し、皆で高め合う仕組みを整える。

 この枠組みは、競争ではなく補完、力ではなく制度、拡大ではなく精度を重視する。正義が勝つためには、倫理だけでは足りない。制度、記録、抑止力、そして信頼できる仲間が必要だ。G10 Compactは、戦争を仕掛けず、制度を守り、責任を共有する国々だけで構成される、かつてないほど強く、深く、安定した国家関係の設計である。今こそ、その構築を始めるべき時である。