もう一つの視点

真理は少数から始まる

クマ対策に持続可能な体制を

 温泉施設の露天風呂にクマが出て、従業員が山の中まで引きずられ、翌日損壊した遺体が見つかるという痛ましい事件があった。今年は、クマによる人身事故や農作物被害が全国で増加している。山間部に暮らす人々のみならず、県庁所在地の中心部や銀行本店の駐車場にまで熊が入り込んでいる。もはや単なるニュースではなく、日常の安全に関わる深刻な問題だ。私は専門家ではないが、現実的な解決策を考えてみた。

 組み立て式の金属製罠を大量生産し、山中に多数設置するという方法である。餌を入れておけば、出没するクマを効率的に捕獲できる。現在の罠は重く高価で、設置や回収に人手がかかるが、アルミ製の軽量枠とネット面材、簡易な扉構造を組み合わせれば、一人で運べる罠を数万円台で量産することも技術的には可能ではないだろうか。これを10年計画で行い、繰り返していけば、人里に近づく個体を継続的に排除でき、結果として数十年後には全体の頭数を減らすことができるだろう。

 捕獲後の処理についても、現場の負担を軽減する工夫が求められる。殺処理したクマを山中に放置する案は法的にはグレーゾーンだが、搬出困難な地域では現地埋設や自然放置が黙認されている例もある。衛生面や他の動物への影響を考慮し、人里から離れた場所での簡易埋設が現実的な選択肢となり得る。

 実行のためには、現場の目的に沿った設計と制度の整備が鍵となる。軽量罠の大量生産と同時に、国・自治体・専門家による捕獲計画づくりも必要となるだろう。

 去年の時点で、全国の熊の頭数は推定8万頭で、その大部分がツキノワグマということだ。小さい国土の狭い山に8万頭は多すぎる。もちろん、クマが減りすぎればシカの増加など新たな問題が生じるが、今回は極端な駆除を求める話ではない。生態系のバランスを崩さない範囲で、有害個体を確実に減らすという現実的な提案である。今後、温暖化で山の餌がますます減り、人里に降りてくるケースが増える以上、根本的な対策が求められている。

 素人の発想でも、実情を踏まえて考えれば、現実的で効果のある道筋は見えてくる。あとは、それを形にして実行に移す担い手が現れることを願いたい。