もう一つの視点

真理は少数から始まる

民主主義に必要なのは数ではない

 民主主義は多数決によって物事を決める仕組みである。しかし、多数決の結果がつねに最善とは限らない。重要なのは、判断をくだす人がどのような教育を受け、どのような情報を与えられてきた存在であり、さらにどのような目的をもって判断に参加しているのかという点である。そこを省いたまま、結果だけを「民主主義だから正しい」とすることはできない。

 人の意思は驚くほどもろく、日々触れる情報に左右される。テレビや新聞で繰り返し語られれば、それを自然に「正しい」と感じてしまう。もし情報が一方向に整理され、流れが作られれば、民意そのものを誘導することも可能である。

 民主主義はあくまで手段であり、それ自体が正しさや適切さを保証するものではない。多数決に参加する人がもつ情報の量や質、思考力や判断力、目的によって、導かれる結論は大きく左右される。そこに正当性が自動的に備わるわけではない。ゆえに、判断の前提となる情報環境そのものを整え続けることが不可欠である。

 多数決では誤る。利己的な目的を排し、情報を集め整理して共有し、建設的に本質を論じ、収束した結果にこそ、民主主義に正当性は生まれる。