日本の政治が安定しない理由は、政党の数や政策の違いにあるのではない。根底には、言葉の空洞化と、それを助長する報道構造、そして有権者の判断力の揺らぎがある。野党は分裂を繰り返し、新興政党は理念や責任よりも目先の影響力を優先して議席を伸ばそうとする。その姿勢は、政権交代の可能性を構造的に困難にするだけでなく、政治そのものを「消費型の娯楽」に変えてしまっている。
選挙演説は怒りや耳障りの良い言葉で満たされ、構造的な提案や倫理的な一貫性を欠く。マスコミは極端なパフォーマンスを面白がって取り上げ、実務能力や理念の違いを伝える努力を怠る。有権者はSNSの断片的な情報や切り抜き動画にさらされ、判断は感情に流されてしまう。
こうした状況下で、人気の出た新興政党が票を伸ばし、自民党とくっついては離れることを繰り返していては、長期政権でよどみ切っている自民党による一党独裁政治はいつまでも続く。それをごまかすかのように、自民党内部だけで首相を頻繁に入れ替える。これでは、世界的な信用は得られない。政治の不安定さは外交上の弱点となり、他国からの要求増大や発言力の低下を招く。ひいては国家としての隙を生み、抑止力さえ損なわれかねない。アメリカや中国、ロシアが、自民党の中だけで首相がコロコロ変わる国を軽んじ、馬鹿にするのも非常によくわかる。
だからこそ、私たちは選挙のたびに語られる言葉の中身を見極め、過去の政党の振る舞いを記憶にとどめなければならない。二大政党制という安定した重厚な政治を築けるかどうかは、国民一人ひとりが情報の真偽を見抜き、責任ある選択ができるかにかかっている。