もう一つの視点

真理は少数から始まる

「ナンバーワン」と「飛距離」を巡る誤解―美しい響きの誘惑

 現実の社会では、個人も企業も上を目指して日々切磋琢磨している。頂点を志す強い意思こそが進歩や発展の原動力であり、その懸命な努力の積み重ねが、豊かな人生を形作り、科学技術や文化、経済を向上させてきた。

 それにもかかわらず、「ナンバーワンにならなくてもいい」、「飛距離よりもどう飛んだかが大事」といった歌詞の曲が大ヒットし、多くの人が何度も耳にし深く刷り込まれることには、強い懸念を抱かざるを得ない。こうした表現は、人間が本来持つ向上心や、現場の熱意を軽視する、実社会の道理に反した考え方である。

「2位でもいいや」という思いでは、物事に本気で向き合わない怠惰が広がり、個人も社会も衰退へ向かう。日常生活や学習、科学技術といったあらゆる分野において、高みを目指す意思なくして向上することはない。人間は向上心を持ち続けなければ、現状を維持することさえ難しいのである。

 真に豊かな未来を築くためには、常に「一番」を貪欲に目指す姿勢が必要である。単なる自己満足の生活では、低いレベルでなんとなく過ごしたまま人生が終わってしまう可能性も十分にある。できる喜び、頂点に立つ達成感も知らずに生きていくのは、知らないこととはいえ気の毒にさえ感じられる。私たちがより良い人生と社会を追求し続けるためには、耳当たりが良い歌詞などに惑わされず、常に向上心を持って高い目標を掲げ、全力を尽くすことが不可欠である。

「あきらめたところがその人のゴール」であり、人生は「一生勉強」である。