もう一つの視点

真理は少数から始まる

山上被告もまた被害者であった

 山上被告に無期懲役が言い渡された。人を殺めた以上、罰を受けるのは当然だが、裁判所が「生い立ちが事件に影響したとは認められない」とした点には、事実として強い疑念を抱く。

 判決では「被害者と宗教団体は無関係」とされるが、安倍氏は団体に肩入れし、内閣総理大臣として日本社会にお墨付きを与えていた。その影響力は団体トップの発言力を上回るものであり、この点において彼もまた団体トップと同等の地位にあったと見ることもできる。

 また、被告は「他の方法を検討しなかった」と断じられたが、本当にそうであろうか。彼は何十年もの間、出口の見えない苦しみの中であらがう術を必死に模索し続けてきた。検討しなかったのではなく、模索し抜いた末の帰結である。

 刑罰の重さはさておき、判決の理由については、腑に落ちるものではない。彼も、そして絶望の中で命を落とした兄も、苦しみ続けた妹も、そして母親も、あの家庭に生きた個々の人間はみな、間違いなく被害者であった。