国民は、不祥事が指摘されていた議員たちを全員当選させた。そして事実上、一党独裁政治を選択した。これで自民党に対するブレーキは完全に失われた。もはや、高市氏に異を唱えられる人はいなくなった。実質的に、ロシアや中国の政治とどこが違うのか。
不正や不適切な言動を容認しないこと。そして二大政党制を確立するか、せめて野党が一定の勢力を保ち、議論が成立する民主主義の土壌を作ること。これらは政治の最低限の基盤として存在すべきものだった。しかし国民は、そのどちらも放棄した。
今後、例えば高市氏が十分な外交交渉を行えないまま軍事化へと突き進み、戦争が現実となった時、あるいは「サナエノミクス」が非現実的な理想論に終わり、経済が衰退した時、はたまたトラスショックのような事態が起きた時、国民は自民党を批判してはならない。その状況を選択したのは、ほかならぬ国民自身だからだ。
果たして国民は、高市首相の真の実力や政策を十分に理解した上で一票を投じたのだろうか。はなはだ疑問と言わざるを得ない。
特に、私は戦争にだけは絶対に行きたくない。かつて平和だったウクライナが一瞬にして戦場となったように、中国の思惑一つで日本も同じ道をたどるのではないかと、非常に心配している。それに対する解が「軍事力増強」では、話にならない。軍事力において日本が中国に追いつくことは不可能だ。そもそも核ミサイルで威圧されれば、その時点で日本は屈するほかない。トランプ氏は強者には弱く、窮地になればすぐに退く人物であり、到底信用に値しない。彼は日本を単なる「金庫」としてしか見ていないだろう。かつて安倍氏は、はったりと恐怖によって権力を維持したが、実力の不足から外交では北方領土交渉でプーチン氏に主導権を握られ、対中関係も悪化させ、経済の要である三本目の矢も成果を上げられなかった。彼を手本とする高市氏も同様に、最後には日本を経済的、あるいは軍事的な危機に追い込むのではないかという予感がしてならない。自信たっぷりに誤った方向へ突き進みそうで、危うさが拭えない。
まず日本に必要だったのは、健全な二大政党制と、実力を備えた正統派の首相であった。これまで野党の中心だった立憲民主党と公明党、そして中道は存在感を失った。世間には自民党一党独裁が安定しているように映っているかもしれないが、このような状況を健全で安定した政治とは言わない。実際にはこれまでで最も危うい状況にあるように見える。何事もなく過ぎ去ってもらいたいものである。